大腸ポリープ
ポリープには、平坦なものや盛り上がっているものなど形が様々で、主に直腸とS状結腸に発生しやすいです。大きさは2mm程度の小さいものから2cm以上のポリープまで様々です。大腸ポリープのほとんどが良性の腺腫といわれています。そのまま放置していると将来的に大腸がんの発症リスクが上昇するため、早期に切除しておくことが大切です。検査中に大腸ポリープを発見した際は、速やかに切除を行います。
主な症状
硬い便が通過する箇所や大きなポリープが発生すると、出血や血便を生じやすいです。さらにポリープが大きくなると、腹痛や便秘、下痢などが現れます。便潜血検査は、肉眼では観察できない大きさの血便があるかを確認できます。ただし、痔を生じている場合も陽性反応を示すことがあります。便が発生する箇所や小さなポリープが発生していても、陽性反応を示さないことがあり、症状もほとんど出現しません。
小さな大腸ポリープを
発見しやすいです
大腸カメラ検査は、大腸の粘膜を隅々まで確認することができます。特殊光を粘膜に当てて、画像処理や画像拡大などを行うことで見逃しやすい小さな大腸ポリープも確認することができます。
大腸カメラ検査は、検査中に疑わしい病変があれば、その場で組織を採取して生検を行うことも可能です。また、検査時に見つけた大腸ポリープは、その場で切除することもできます。
早期発見と早期治療を行って
生活の質を維持します
近年、大腸がんによる死亡者数が増加傾向にあります。特に、40歳以降で大腸がんを発症するリスクが上昇していきます。初期のころは自覚症状が乏しいため早期発見が難しく、日常生活に支障が出てからようやく発見されるケースもあります。そのため、症状の有無に関わらず、定期的に大腸カメラ検査を受けることを推奨しています。また、大腸カメラ検査中にポリープを発見した際は、その場で切除を行うことが可能です。早い段階で切除して、進行を防ぐことで生活に支障が出にくいです。
40歳以降の方や大腸カメラ検査を受けたことがない方は、早めに大腸カメラ検査を受けましょう。
大腸ポリープを取り除く方法と
そのメリットについて
大腸カメラ検査は、粘膜を直接観察しながら大腸ポリープを見つけたら、検査中に切除することができます。検査の所要時間は5〜10分程度と短時間のうちに終了し、大腸ポリープを切除しても入院の必要がなく検査当日にご帰宅していただけます。ポリープ段階で切除することにより、将来の大腸がんの発生を未然に防ぐことができます。また、検査当日にポリープを切除できるため、事前準備の食事制限や下剤服用が1回のみになります。ただし、ポリープの数が多かったり、大きさや形によっては、提携先の高度医療機関をご紹介します。
ポリペクトミー
ポリープ切除の手法として、よく行われています。スコープの先からスネアを出して、ポリープに引っかけます。締めつけながら高周波電流を流すことで止血作用によってポリープ切除による出血が生じにくくなります。粘膜まで通電すると、出血や穴が開くことがあるため、患者さんの状態やポリープの形状に合わせて術式を適応するかを判断します。
コールドポリペクトミー
大腸ポリープにスネアを引っかけて、通電せずに締めつけて切除します。合併症が生じる可能性が少ないといわれています。患者さんの状態によっては、ポリープを切除した後に止血処置を行います。
内視鏡的粘膜切除術
ポリープの形やサイズによっては、内視鏡的粘膜切除術といわれるポリープ下に生理食塩水を注入したり、腸管内を水で浸水させることで切除する方法を用います。スネアに高周波の電流を流していきますが、生理食塩水の作用により下層に通電することはありません。
全周切開内視鏡的
粘膜切除術
20mm程度の大きさや平らなポリープに適用されます。傷あとを残さずに切除することが可能です。生理食塩水によりポリープを持ち上げて、スネアの先を用いて粘膜を切っていきます。スネアを引っかけやすい状態をつくり、再度生理食塩水を注入します。そこに、高周波電流を流して焼いていきます。切除後は、クリップで止血を行います。
切除した後に
注意していただくこと
大腸ポリープ切除後は、出血や腹痛が生じる可能性があります。数日から1週間程度は激しい運動、長距離移動は控えるようにしましょう。お風呂も1週間程度は入浴は避けてシャワーのみにしてください。
大腸カメラ検査をご予約される際に、出張や旅行などの日程調整をしておきましょう。
大腸ポリープを切除した当日は、激しい動作を避けてゆっくりと休みましょう。
入浴はシャワーで
済ませるようにしましょう
大腸カメラ検査当日は、シャワーであれば問題ありません。翌日から湯船に浸かっていただけます。ただし、長時間入浴することは避けましょう。また、大腸ポリープを切除した場合は、1週間ほど入浴は控えるようにしてください。
食事について
手術当日は、刺激物や脂質を多く含んでいる食べ物を摂らないように心がけましょう。
アルコール
ポリープ切除後は、当日のアルコール摂取は控えてください。
運動
1週間程度は、腹圧がかかりやすい運動を行うことができません。患者さんによって、運動制限や再開時期が異なります。
出張・旅行
大腸ポリープ切除後は、1週間程度は長時間の運転や移動を控えるようにしてください。緊急時にすぐに対応できないことがあります。また、飛行機は気圧が変化するため、患者さんの身体に負担がかかりやすいといわれています。