食道がんとは
我が国では、食道がんの新規罹患者数は、10万人程度と報告されています。内訳は10万人あたり男性30人、女性5人になります。罹患者数や死亡者数は、40代後半以降に増加している傾向があります。発症のピークは、70代ですが、男性や高齢者の発症リスクが高いです。また、2割程度は喉頭がんや咽頭がん、胃がんなどを併発しています。異なる時期に発症するケースや同じような時期に発症するケースなど様々です。食道がんの種類には、扁平上皮がんと腺がんがあります。我が国では、食道がんを罹患した方の多くが扁平上皮がんを発症しています。腺がんは、肥満や欧米の食生活の影響により罹患者数が増えています。欧米の人に発症しやすく、逆流性食道炎が発症に関係しているといわれています。
主な症状
初期段階の食道がんは、症状が出現することは滅多にありません。そのため、検診時に胃カメラ検査やバリウム検査を受けられることを推奨しています。胸や背中の痛み、声のかすれ、咳、体重減少、食事中の胸の違和感、食べ物を飲みこむ際のつかえ感がある場合は、がんが進行しているサインかもしれません。気になる症状がありましたら、速やかに当院を受診しましょう。
食道がんの原因
扁平上皮がんと腺がんでは、食道がんのリスク要因が異なります。食道がん組織ごとのリスク要因は、表1を参考にしましょう。扁平上皮がんのリスク要因は、タバコとアルコールといわれています。普段からタバコやアルコールを摂取する機会が多い方は、食道がんの発症リスクが高まります。また、アルコールを摂取すると赤裸顔になりやすい方が長期的に摂取されると、食道がんや頭頸部がんを発症しやすいです。生まれつき、発がん性物質のアセトアルデヒドの分解に関わる酵素の活性が弱く、アルコールを摂取し続けることによって体内に蓄積することが指摘されています。腺がんのリスク要因は、タバコや肥満、脂質を多く含んだ食事、バレット食道といわれています。逆流性食道炎によって、バレット食道を生じやすくなります。近年、ピロリ菌陰性やピロリ菌除菌者数が増加していることも指摘されています。
表1 食道がん組織ごとのリスク要因
| 扁平上皮がん | アルコール、タバコ、アルコールを摂取すると顔が赤くなりやすい、熱い飲み物、食道アカラシア |
|---|---|
| 腺がん | タバコ、肥満、脂質過多の食事、ピロリ菌陰性、逆流性食道炎、バレット食道 |
食道がんの検査方法
当院では、経験豊富な専門医が最新の内視鏡機器を用いて胃カメラ検査を行っています。画像強調システムで、食堂の粘膜を直接観察することで、初期段階の食道がんを発見することが可能です。患者さんの身体への負担が少なくて済みますので、ご安心ください。
食道がんの治療方法
患者さんの状態に合わせて内視鏡治療や放射線、化学療法、外科療法を行います。がんの進行度合いや体の状態、検査結果を総合的に判断して、適切な治療を決定します。ただし、進行している際は放射線療法や化学療法、外科療法を併せて行います。食道がんを早期発見して、適切な診断を行うために、画像強調システムを用います。食道がんが進行する前に見つけられると、患者さんの身体への負担が少ない治療で済みます。
