大腸がんとは
我が国では、75歳未満の罹患率が増加しており、若年者の発症も増えています。欧米諸国と比較しても、大腸がんの罹患率や死亡率は高い数値を示しています。新規罹患者数は、男性に多く、1年間で10万人あたり100人程度というデータがあります。大腸がんの発症率は、男性の場合は前立腺がんの次に多く、死亡率は、肺がんの次に位置しています。一方、大腸がんの発症率は女性の場合は、乳がんの次に多く、死亡率は大腸がんが最も多くなっています。40歳以降に発症しやすく、それ以降は高齢になるほど増加傾向があります。アメリカでは、定期的な大腸がん検診を行うことで罹患者数や死亡者数を減らせたそうです。定期的に大腸カメラ検査や便潜血検査を受けられることを推奨しています。
主な症状
初期段階の大腸がんは、症状が出現することはありません。診断は、便潜血検査よりも大腸カメラ検査のほうが有効といわれています。大腸がんが進行すると、下記のような症状が現れやすいです。自覚症状は、大腸がんの進行のサインかもしれませんので、速やかに当院を受診しましょう。
- 息切れ
- 立ちくらみ
- 腹痛
- 腹部のしこり
- 残便感
- 便秘
- 下痢
- 便が細い
- 排便回数の増加
- 血便
- 急な体重低下
大腸がんのリスク要因
肥満や食習慣、タバコ、アルコール、運動不足などがあげられます。脂質を多く含んだ食事、フルーツや野菜の摂取不足、ベーコンやハムなどの加工肉、牛肉や豚肉などの赤身肉を摂取する機会が多いと、大腸がんの発症リスクが上昇します。また、遺伝的要因も関係しています。Lynch症候群や家族性大腸ポリポーシス、ご家族の方に大腸がんの罹患者がいらっしゃる場合は、発症リスクが高まります。若い方で大腸がんを発症された患者さんは、ご家族の方に大腸がんや乳がんの罹患者がいらっしゃいました。
大腸がんと乳がんとの関連性も報告されています。定期的に大腸カメラ検査を受けることを推奨しています。
大腸がんの検査方法
便潜血検査や大腸カメラ検査で診断を行います。便潜血検査は、専用の容器に便を採取して、目で見て確認できないほどの血が便に混入していないかを調べていきます。大腸からの出血の有無を確認できます。事前準備の食事制限がないため、スムーズに検査を受けていただけます。便潜血反応検査を行って50%~75%は、大腸がんが発見されています。ただし、陽性であっても必ずしも大腸がんを発症しているわけではありません。陽性者100人のうち大腸がん罹患者数は、5人程度というデータがあります。また、初期段階の大腸がんは見つかりにくいため、大腸カメラ検査を受けていただく必要があります。大腸カメラ検査は、苦痛や不快感を伴うと思われている患者さんもいらっしゃいます。当院では、最新の内視鏡システムを導入しており、経験豊富な専門医が高度な技術で大腸カメラ検査を行っています。患者さんの身体への負担が軽減できるように心がけています。初期段階で大腸がんを見つけられると、内視鏡や手術で切除できますので、お気軽にご相談ください。
大腸がんの予防方法
大腸がんには、1次予防と2次予防があります。
1次予防は、大腸がんを発症しにくい体質を目指します。野菜をたくさん摂取して、肉類を控えめにしましょう。1日20分以上ウォーキングを行うなど、適度に体を動かすことも大切です。
2次予防は、定期的に大腸がん検診を受けて初期の大腸がんを早く見つけて適切な治療を行います。
便潜血検査で陽性反応を示した際は、大腸カメラ検査を受けることを推奨しています。検査中にがん化しやすい大腸ポリープを発見したした際は、その場でポリープ切除を行うことが可能です。大腸がんは、良性の腫瘍性ポリープから発生しやすいです。ただし、まれに悪性のタイプがあるため注意していただく必要があります。治療法は、ポリープの種類によって異なりますが、ポリープの段階で治療を受けておきましょう。大腸がんの発症リスクを抑えることができます。